住民票・生活費・仕事etc…実践してわかった「旅しながら暮らす」のリアル

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ミニマリストしぶ

少ない物で身軽に生活をすること、ミニマルデザインなグッズを収集するのが趣味。座右の銘も「少数精鋭」です。■ 「less is _ jp」監修デザイナー ■ Minimal Arts Inc 代表取締 ■ 著書「手ぶらで生きる」

「旅しながら暮らす」

インターネット1つで仕事ができるようになり、働き方に多様性が生まれた現代だからこそ、よく耳にするワードでもあります。

とはいえ、実際に経験のある人は極わずかでしょう。

この記事では、僕が実際に日本国内で6ヶ月間「旅しながら暮らす」で経験したことを踏まえ、Q&A形式で答えていきます。

参照:6ヶ月で「旅しながら暮らす」をやめた理由

 

Q なんで辞めたの?

過去記事にも書きましたが「疲れたから」の一言に尽きます。

▼「暮らし」のタスクは3つ。

 

 

▼「旅」のタスクは6つです。

 

▼「暮らし」と「旅」をセットにすると9つです。

「旅」と「暮らす」の切り替えが大変で、疲れました。

 

Q 住民票はどうしてた?

実家に置いてましたね。

各種書類は親の協力を得て、僕が移動する先々に送ってもらっていました。

他にも、僕の周りで「移動して暮らしてる」という人の話を聞くとこんな具合です。

  • 実家に置いてる
  • 彼女と同棲してて、彼女の家に置いてる
  • 会社経営をしていて、社宅がある
  • 親族からマンションの一室を譲り受けて、一応家はある
  • 仕事先から部屋を無料で借りてる

「旅しながら暮らす」というと、その場限りのホテル暮らしを続けていて「家なし」のイメージがありますが、実際は違います。

要は何かしら、自分の拠点を持っていて住民票もそこに置いている

 

完璧な「家なし生活」を日本で実現するのはほぼ不可能ですし、実現しようと思ったら他者の協力は不可欠です。

長期的に実践するなら、安いアパートでも良いので「拠点を持っておく」ほうがいい。

地方に行けば1万円台で借りられる部屋もありますから。

 

Q 仕事はどうしてた?

会社員ではなく、フリーランス(個人事業主)なので、パソコン一つあれば問題ありません。

なので「長期休暇を取って、貯金をすり減らして旅に出る」というスタイルではなく、きちんと仕事もしていました。

(そもそも「旅しながら暮らす」をしようと考える人の多くが、会社員ではなくフリーランスの方だと思います)

午前中に仕事を済ませて、午後は観光や移動という流れが多かったですね。

そして「旅しながら暮らす」で良かったことの1つが、毎回ちがう場所で仕事ができる点。

行く先々のカフェや宿の共用スペースなどを利用していました。

(楽しいけれど、仕事場所が毎回変わるという点では「疲れてしまう」というデメリットもありましたが)

 

Q 宿はどうしてた?

  • ホテル
  • シェアハウス
  • ゲストハウス
  • Airbnb
  • 知人の家

割合としてはゲストハウスの利用が多かったです。

ゲストハウスに泊まるのが目的というより、安く泊まれる宿を探していたので、必然的にゲストハウスの割合が多くなるという感じ。

目安としてはU3000円以下で、安く夜を過ごせる場所を選んでいました。

 

それと一番コスパの良く宿泊するなら、マンスリー(1ヶ月単位)の宿がおすすめ。

長期の滞在なら割引を受けることができるので、マンスリーホテルやゲストハウスなら1ヶ月あたり4万〜7万円で利用できる場所が多いです。(1泊あたり2000円前後)

参照①:マンスリープランのご案内 | 名古屋 ビジネスホテル

参照②;料金 – Guesthouse Otohaya

 

立地や移動スパンなどで大きく変動するので一概に言えませんが、安く抑えようとするなら1ヶ月の宿代は4万〜9万円で見ておけば問題ないかと。

(ビジネスホテルなどを転々とする場合は15万〜20万は必要でしょう)

 

あとは旅行シーズンである7月〜8月は、宿代と交通費がとにかく高い。

例えば、8月に「札幌→福岡」の飛行機を使った際は片道22000円掛かりました。オフシーズンなら7000円とかで行けるのに。

Airbnbも繁忙期はホテル並みになってしまい、値段が2倍近く跳ね上がることもザラです。

※先ほども話したように「フリーランス」の場合、宿代と交通費を経費として計上できます。

旅先で仕事を作ったり、ホテルを記事に書くなど「仕事の一環」にできるなら、経費と割り切って節約しないというのもアリ。

 

Q 移動手段はどうしてた?

飛行機・新幹線・夜行バスのどれか。

ただ最初は、飛行機にしろ何にしろ「できるだけ安く移動できるように、ちゃんと調べて予約しよう」と律儀に情報収集していました。

しかし旅の疲れもあってか、途中からは「どうせ経費だし、もう何でもいいや」と調べることなく、適当になっていた覚えがあります。

ちなみに最安価格の交通手段を調べるツールとして「スカイスキャナー」 をよく利用してました。

 

Q 生活費はどれくらい必要?

1番安い月で12万円、高い月で22万円かかりました。

1番安かった月は、京都に1ヶ月滞在して、シェアハウスに住んでいた時。

逆に1番高かったのは8月で短期滞在を繰り返していた時で、旅行シーズンもあって交通費と宿泊費が高かったです。

一番出費が安かった時の生活費(6月)

宿代:59000円(シァアエハウスの家賃)

交通費:6190円

食費・観光代:39712円

その他(通信費・銭湯代・雑費etc):13673円

合計:118575円

一番出費が高い時の生活費(8月)

宿代:63540円

交通費:87860円

食費・観光代:52128円

その他(通信費・銭湯代・雑費etc):17451円

合計:220979円

※銭湯代を計上しているのは、短期シェアハウスやゲストハウスには「シャワーのみ」が多い為

これまた宿代と交通費は経費に計上できるので「旅して暮らす」そのものは多額のお金が必要、大富豪の特権というわけではありません。

なので目安として自分で毎月30万円を安定して稼げるようになると、どんなスタイルにしても不自由なく生活できるはず。

 

Q 「アイデアと移動距離は比例する」って本当?

本当だと思います。僕は実感できました。

普段は3日に1記事しかブログを書かない僕が、旅の最中は毎日更新したり、1日に3記事も更新してました。

「あー!良いこと思いついた!」みたいなのが日常茶番時。

 

例えば当ブログで行なっている、全国のミニマリストの取材する企画「ミニマリストのカバンの中」なんてまさに移動中に思いついたもの。

クリエイター業の人は、定期的に旅をして刺激を浴びた方がよさげ。

 

ただし、これこそが「”旅しながら暮らす”は疲れる」の原因でもあります。

旅先で五感がフル回転するので、刺激やインプットが過多になり、処理が追いつきません。

アドレナリンが止まらず、興奮しっぱなしで疲れます。脳がハイになりすぎて、眠れない日もしばしばありました。

 

Q 移動スパンを短くするから、疲れるんじゃないの?

その通りなんですが、旅を重ねるほど「あそこにも行きたいな」と欲が膨らみます。

くわえて、同じ場所に長期で滞在していると「旅の要素」が薄れて、完全な暮らしになってしまう。

 

「普通に暮らすんだったら、わざわざこんな燃費の悪いライフスタイルである必要ないな」

「かといって移動を増やして旅の要素を増やすと疲れるな」というジレンマに襲われました。

※「燃費が悪いライフスタイル」というのは、例えば1泊3000円で1ヶ月を過ごすと、家賃だけでも90000円。

くわえて30日間も毎日観光するわけではないし、移動だけで終わる日もあれば、部屋にこもって一歩も外に出ない日だってあるわけです。

だとすると、普通に賃貸で安い家を借りて、旅したい時に旅して、思い切り観光を楽しむほうが、体力もお金もコスパが良いです。

 

Q 1人で寂しくないんですか?

僕は内向型人間ということもあり、基本的に1人が好きなので問題なかったです。

ただ、観光地で「誰かと一緒ならもっと楽しかっただろうな」というシーンも当然ありました。観光してるカップルとか見ると、孤独感がヤバい。

観光地やゲストハウスなど、自分から出会いを作るというのも手ですが、僕にそんな能力は無く。

とにかく「基本は1人旅」ということは覚悟しておいたほうが良いです。

 

Q 「旅しながら暮らす」で良かったこと、悪かったことは?

良かったことは「定住しないで済む」こと。

旅先でしか味わえない非日常が、自分にとっての日常になる。

フットワークが軽くなるぶん、会いたい人にも躊躇なく会いに行ける。

定住していたら出会えなかった人・場所・空気に触れることができる。

 

悪かったことは、「定住できない」こと。

例えば、スポーツジムを契約して、毎日の習慣にジム通いを取り入れるなど「定住することでしか身につけられない習慣」を実行するのは不可能です。

そして朝に起きて、毎日同じ場所から日常をスタートできて、自分で決めたタイムスケジュールで習慣を実行できること。

これらは全て、定住しているからこそ出来ることです。

 

矛盾するようですが、結局のところ「定住しない良さを取るか、定住する良さを取るか」という話だと思います。

ブロガーのイケダハヤトさんが「旅の効用は、旅から戻ったあとの日常が豊かになること」と言っていたのですが、これがしっくりきました。

「旅」と「暮らし」の切り替えができて、メリハリをつけられるからこその効用です。

そういった意味でも僕は「定住する良さ」を選びました。

 

Q これから「旅して暮らす」をしたい人に向けてアドバイスを

  • とりあえず毎月30万円、自分で稼げるようになろう
  • 安いアパートでも何でも良いので、拠点は持っておけ
  • まずは期間を決めて実践して、合う合わないを確認しよう
  • 割合を「暮らし>旅」にすると疲れにくいし、長期的に実践できる

(「暮らしながら旅をする」「暮らすように旅をする」のイメージ)

正直「旅しながら暮らす」自体は誰でも始められます。

一番のハードルは継続すること、つまり「徹底した自己管理が求められること」。

日常の習慣をこなし、仕事をし、旅をするというタスクの切り替えを、器用にこなす必要があります。

(自己管理できないのが悪い…と言われればそうですが、そういった「器用さが強要される」時点で辛いと判断したので、僕は辞めました)

 

なので、気になる人に対してのアドバイスとしては「今すぐやれ」に尽きます。

年を取れば取るほど、体力的にもキツくなりますしね。