著書「手ぶらで生きる」の裏側。完成までの経緯と、発行部数や売り上げの話。

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ミニマリストしぶ

少ない物で身軽に生活をすること、ミニマルデザインなグッズを収集するのが趣味。座右の銘も「少数精鋭」です。■ 「less is _ jp」監修デザイナー ■ Minimal Arts Inc 代表取締 ■ 著書「手ぶらで生きる」

ミニマリストしぶです。

この記事では「手ぶらで生きる」の制作にまつわる裏話を赤裸々に書いていきます。

  • どのような経緯で本の制作が決まったのか
  • どうして「サンクチュアリ出版」なのか、当時のメールを添えて
  • 本の発行部数と、目標の売り上げ
  • どうして紙の本が重要で、電子が後回しだったのか

「手ぶらで生きる。」が裏側を知りたい人はもちろん、一冊の本がどうやって作られるのかを知りたい人、将来的に自分で本を出したいという人にも役立つ内容になっているはずです。

(出版にまつわるデータや数値の公開は、サンクチュアリ出版にも許可を頂いてます)

 

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始まりは1月10日の「単独トークショー in サンクチュアリ出版」

「サンクチュアリ出版のイベントスペースで、しぶさんのお話を聞かせてもらえませんか?」

そんなお問い合わせをブログ経由で頂いたのが、2017年9月のこと。

それから打ち合わせを進め、実際に「単独トークショー」としてイベントを開催したのが2018年1月10日でした。

 

そう、「手ぶらで生きる」はここからスタートします。

トークショーの現地で、サンクチュアリ出版さんの編集者さんが観覧していました。

イベント終わってすぐ、編集者さんから「うちで本を出しませんか?あくまで企画会議に通ったらの話ですが」とお声かけ頂いたのです。

 

最初こそ「お金とミニマリストの本」だった

画像は企画会議に通す前のメールです。ここから颯爽と話は進みます。

トークショーを終え、1月の末には「ミニマリストとお金の本で企画会議に出します」と編集者さんから返事がきました。

無事に企画が通り、2月の中旬には本の制作がスタートしました。

 

そして「企画が通って本の制作がスタートしました。本の発売日は5/7です」と告げられたのが2/19。

発売まで3ヶ月にも満たない、超短期間のスピード制作になったのです。

(通常、本の制作は早くて半年〜1年のスパンで行うのが普通。僕の知人も1年かけて本を作った…という人が多いです。)

 

そして記事の見出しにも書いてあるとおり、最初でこそ「ミニマリストxお金」をテーマに本を書く予定でしたが、企画が通ってからガラリと変わりました。

会議に通す以前の、本の企画は以下の通り。

【タイトル案】
ミニマルライフコストで暮らし、
見栄にお金を使うのをやめたら
人生が動きはじめた話(仮)

【コピー案】
最小限のコストで生きて、
最大限の自由を手にする

月間100万PVのカリスマブロガー
大人気ミニマリストが明かす
77のティップス集

【本の内容】
”最小限のコストで身軽に暮らす方法とそのメリットがわかる1冊”

2015年の流行語にもなったミニマリスト。自分に必要なものを知り、最小限の物だけで暮らす人のこと。
大量生産・大量消費の現代において、定着化したライフスタイルである。

家具も家電もない4畳半の部屋で、月に7万円で暮らすさまを
赤裸々に綴ったブログが大人気のミニマリストしぶが、
ミニマルライフコストで生きるためのテクニックとそのメリットを教える。

当初はもっと長いタイトルで、内容も別物だったんです。

そしてタイトルは「手ぶらで生きる」とミニマルに、かつミニマリスト本の決定版のような内容に生まれ変わりました。

 

本の発行部数と、売り上げ目標

「発行部数を公開するかどうか」は最後まで迷いました。

だって、基本的に商品を売る側は「これだけの数を作って、これだけ売りたいです」とは表立って口にしないですよね。買う人には関係のない話だから。

ただ、「本がどのように作られて、本をどうやって売るのか」を知っている人は著者の僕を含めて、世間にはそう多く居ません。

だからこそ、僕が公開することに価値があるなと。本を読む人にとっても、これから本を作りたいと思っている人の役にたつんじゃないかと公開を踏み切りました。

 

なので、まずはサンクチュアリ出版について。

サンクチュアリは「月に1冊しか本を出さない出版社」です。以下、とある記事の引用文。

滝:サンクチュアリは少し変わっていて、月に1冊しか本を出さないんです。他社では部数を公表しないのが一般的ですが、うちはオープンにしていて。例えば、この本(『世界一カンタンな人生の変え方』)だと初版が1万8千部でした。

宮脇:初版って、普通は5,000刷くらいですよね

滝:今はもっと少ないんですよ。出版年鑑を調べたら、2015年に出た単行本の部数は1冊あたり平均3,000部くらい。10年前のデータでやっと5,000部くらいでした。

(中略)

「サンクチュアリなら、初版1万部必ず超える」というのは強みにもなりますが。

宮脇:月1本、初版1万部ってかなりリスキーですが、思うように売れなかった本などはありませんか。

滝:2016年3月時点で、サンクチュアリでは出した本の11%しか1万部未満の本はありません。かなりよい方じゃないでしょうか。どれだけ刷るか、どれだけ売り上げを伸ばせるかは、会社によってまちまちですね。

宮脇:逆に、多い出版社だと、年間何作品くらい出版しているんですか?

滝:一昨年の数字だと、KADOKAWAさんは4,000点を超えていましたね。

出展:「出版不況」は書籍出版のチャンス?書籍編集者と著者が語る出版業界のリアル | THE LANCER(ザ・ランサー)

「たくさん作って、たくさん売って、その中から売れ行きが良いやつだけ広告費かけよう」という薄利多売な出版スタイルとは正反対。

「売れる本だけ作って、その1冊を売るのに全神経をかける」という売り方は、まさにミニマリズム。

僕が最初からずっと「サンクチュアリ出版で出したい」と思っていた理由もこれです。

 

だからこそ、僕の著書「手ぶらで生きる」の部数もかなり多いです。

ありがたいことに、正直「もう十分だな」と思わされるくらい。

初回発行部数:12000部

出版社の売り上げ目標:発売から半年で50000部

僕個人の目標:1年で10万部

これだけ多くの部数を刷れるのも、月に1冊しか出さないから。

それだけに、サンクチュアリ出版で本が出せるのは本当にラッキー過ぎました。

月に1冊しか出さないぶん、企画会議に通すのも相当に困難で「3〜4回通して通らなかった」という本もザラ。僕は1回で通ったそうです。

自慢したいわけではありませんが、そんな登竜門を潜り抜けただけあって、「手ぶらで生きる」の内容には自信があります。

 

サンクチュアリ出版、創業23年にして初めて「紙と電子の同時発売」

こういった事情もあって、出版業界では「紙」の売り上げが優先されます。

「読みたい本が発売されたけど、まだ電子版が売られていない。発売日が遅れている」という場面に出会ったことはありませんか?

そう、出版業界の売り上げは「発行部数」も同然なので、重版がかからない「電子」は優先度が低いです。

そして重版をかけるためには、初版の30%を発売1ヶ月以内に「紙」で売る必要がある。だから「初速が命」。

 

紙の本をたくさん売って、重版をかける。

そうして「重版かかりました!」と本屋に宣伝をかけて、また紙の本を売る。この繰り返し。

だから「電子版の発売は、紙の発売日から1〜2ヶ月後」なのが普通です。

(実際、電子は全体の売り上げ5%が平均というデータもあり、世間がまだ圧倒的に「紙派」が多いという事情もありますが)

 

だけど僕自身、ミニマリストとして出来るだけ「手ぶら」で居たいから、電子で買うことが多い。

紙でしか売ってない本はもちろん紙で買うけど、読んではすぐに手放します。

そういった意味でも「手ぶらで生きる」というタイトルなんだから、「もっと早く電子を発売したい」と出版社にお願いしました。

 

おそらく紙の売り上げに影響が出るぶん、出版社も相当の覚悟があったと思います。

にも関わらず、柔軟に「紙と電子」の同時発売に対応してくれたサンクチュアリ出版さんには頭がさがるばかりです。

※「紙と電子の同時発売」は、サンクチュアリ出版創業23年にして初めてのこと。

 

「作った後」が本番。しぶ本人もアクティブに動きます。

本は「作る」のも大変ですが、「売る」のはもっと大変です。

そして「作って終わり」の著者さんが多く、「売る」のは出版社の仕事…これが普通。

本を多くの人に読んでもらうためには、面白い文章を書くだけじゃ駄目。きちんと全国に行きわたるよう「売る」必要がある。

 

そして基本的にイベントを開催したり、人前で話すのが苦手なので、普段は人前に出ない僕。

ですが本の発売月である5月・6月が積極的に体を動かしています。

 

※メンタリストDaiGoさんと対談を終えての写真

色々な人の力を借りて、色々な人に広めてもらっている「手ぶらで生きる」。

こんなに素晴らしい本を、もっと多くの人に届けるためにも僕自身、全力で動き回ります。

 

▼5月・6月は積極的にイベント活動しているので、出演・公演依頼等は下記からどうぞ。

お問い合わせ:お問い合わせ

TwitterのDM:@minimalist_sibu

 

「#手ぶら本」を通して、みなさんの力を貸してください。

5/7が公式の発売日ですが、GW前の流通ということもあり、すでに店頭に並んでいる書店も多いです。(参考:GW中に読めるかも。「手ぶらで生きる」のフラゲ報告が続々。

おかげさまで、本の感想もたくさん頂いてます。

 

僕は本を通して「ミニマリストに対する見方を変えたい」と強く思っています。

「ミニマリストって何?」

「ミニマリストって、物が少ない”変人”でしょ」

今でこそ、”ミニマリスト”という言葉はよく聞くようになりましたが、「ミニマリストの生き方・考え方」まで正しく知っている人は圧倒的に少ない。

 

だからこそ、本が広まれば、それだけ「ミニマリストって良いよね」と思ってくれる人が増える。

そうして、ミニマリストという生き方が、1つのライフスタイルとして当たり前のように認知される世の中になります。

長い記事になりましたが最後に、皆様1人1人の力で「手ぶら本」を広める手助けをしてもらえれば幸いです。

 

本の詳細:手ぶらで生きる(Amazon)