お邪魔します——「おー、ちょっと待って、やばい」。圧巻の光景です。床も壁も、トイレの天井まで、全部埋まっている。「人じゃなくて、モノが住んでます」。今回のモノ減らしコーチングの依頼者は、ぺろさん(34)。
東京都内の33㎡・1DKに、旦那さんと6歳のお兄ちゃん、2歳の妹ちゃんの家族4人で暮らしています。間取りは、僕の部屋とほぼ同じ広さ。
そこに家族4人と、ちいかわ、ベイマックス、ブルーロック、ヒロアカ——大好きなものに囲まれた部屋は、お兄ちゃん曰く「ジャングル」でした。
この記事は、3日連続+1週間後の2日、計5日間・約40時間の片付けと、1ヶ月後・2ヶ月後に部屋がどうなったかの全記録です。
片付け前のルームツアー:玄関からトイレの天井まで、ちいかわとベイマックス
玄関は四方八方モノに囲まれています。服と雨具、防災用のスーツケースに入れようと思って忘れていた缶詰。
「今日は妹ちゃんと旦那さんが実家に帰っているので、普段あるベビーカーとキャリーケースがない。一応すっきりしている状態です」——つまり、普段はもっと通れない。僕が来る前にも一応減らしてくれていて、靴は半分に。
視界の先にちいかわ。僕の片付け企画に出る人は、ちいかわか、おぱんちゅうさぎか——こいつらがいればいるほど散らかっている傾向にあります。
天井からたくさんのちいかわたちが吊るされ、全部コラボカフェで手に入れたものが、コラボカフェみたいに並ぶ。トイレに座って上を見渡すと、ちいかわとベイマックス。
突っ張り棒で自作した棚なので、重量のあるものが載っていたら地震のときに危ない。
トイレから出て右が水回り。広めの洗面所にびっしり。立派なドラム式洗濯乾燥機がありますが、乾燥まで回したあとは全部バーンと出してそのまま。
横の段ボールにはとりあえずモノが突っ込まれ、そこにもちいかわが——ゴミに潰れてしまっていて、かわいそう。
そしてリビング。「おお」という言葉しか出てこない。ベビーベッドの上に食パンのクッションソファが置いてあって、ベビーベッドとして機能していません。床の踏み場を作るためにそこへ追いやった、という感じ。ブルーロックのポスター。
ベッドの先には大量のモノが上から下までびっしり——特に感動したのが、テトリスのように隙間なく詰めてある収納。中身はお子さんの服。6歳と2歳、お子さん2人にしても服が多すぎる。
「未来サイズの、来年の服を今買って保管して」——未来の子ども服たちの山です。
ピアノがある。「これ弾けます?」「毎日、お兄ちゃんが」。モノの上をなんとかジャンプして弾いている。寝室だけが唯一モノがない場所で、家族4人がなんとか寝られている。布団はヒロアカ。
隣はクローゼットじゃなくて、よく見ると下にテレビがあり、木の棒を棚と棚の上に渡してクローゼットみたいになっている。キッチンは「収納を開くたびに、僕、違う意味で感動してます」。詰め込めるだけ詰め込んであって、奥の食器は取り出せない。
上を見上げるとベイマックスとダッフィー。突っ張り棒ができるところには、とりあえず全部突っ張り棒。
そして、僕が初めて見たもの。「多分ゴミがいっぱい出るので、袋をいっぱい買っておいてください」とLINEで伝えたら、まさかの段ボール1箱。45リットルのゴミ袋、100枚入りです。
「これだけ減らし終わった頃には、この家も綺麗に片付いているはず」。一度にこの量を買うあたりが、捨てられない人って感じがします(※この100枚は、3日で使い切ることになります)。
率直に言って、レベルで言えば「ゴミ屋敷一歩手前」。ただ、こういう部屋の人は、実は収入が高くて、会社に行くと仕事ができて外面はすごく良いのに、家に帰るとモノだらけ、というパターンがすごく多いという研究があります。
ぺろさんもLINEのやり取りはすごく律儀で、仕事はできるんだと思う。自分だけと思わず、同じような人がいたら勇気をもらってほしい。
自己紹介:「宇宙一汚い」と言われて。段ボール3箱で育った子ども時代
「初めまして、ぺろです。永遠の17歳と言いたいところですが34歳で、普段は小さな会社で秘書とか総務をやっています。趣味はボーイズグループのライブに行くこと、アニメ・漫画。ブルーロックとかヒロアカとか、いろんなジャンルのものが好きで、モノをすごく溜め込みたい性格です」
申し込んだ理由は、昔から片付けがずっと苦手で、ちょうど4月からお子さんが小学生になるから。「このタイミングで部屋を綺麗にしないと、勉強に支障が出ちゃうかなと思って」。
お母さん的には、この部屋で住まわせているのが申し訳ないという気持ちは——「あります。毎朝、悲しくなります」。子どもは親を選べない。この状況は親御さんの手で片付けてあげないと、お子さんはずっとこの部屋で暮らすしかない。
過去の片付け歴。小学生の頃から部屋が片付けられなくて、親から「段ボール3箱で生活しなさい」と言われ、泣きながら段ボールのところで勉強していた時期がある。
中学・高校では友達を家に呼びたいのに汚すぎて呼べず、お姉さんにお小遣いからお金を払って部屋を借りた。社会人になって一人暮らしを始めた最初は綺麗にしていたけれど、3年くらい経つと汚くなり、友達に「宇宙一汚いね」と言われた。
「最上級の褒め言葉だなと思って」。出産のタイミングで一度は減らしたけれど、男の子と女の子で与えたいものが違うからおもちゃは増え、育児に余裕が出てきた1年前くらいから趣味(子どもに服を作る、編み物)も増えた。
実はその前に、片付けコンサルタントを10時間・約15万円で頼んだこともある。でも丁寧に整頓するタイプで「捨てさせる言葉」をかけてもらえず、収納ボックスが増えて合わなかった。それでもっと厳しい人を探して、僕の動画に辿り着いた。
この家のモノのほとんどは、ぺろさんとお子さんのもの。旦那さんの持ち物はそんなにない。僕もいろんな家に行っていますが、だいたいモノが多い理由は奥さんなんです。一人暮らしの頃の写真を見せてもらうと、今よりもひどい。
決まったタイミングでは一時的に減らせるけれど、またどんどん増えていく。
減らしたあとは?「子どもたちがのびのび生活できるように。自分の趣味も気持ちよくやって——最近筋トレにハマっているので筋トレしたいし、子どもがどんどん手がかからなくなっていくので自分の趣味を増やしたい。
そのためには一回部屋を綺麗にして、頭の中もクリーンにしたい。今でもすごい頑張っているお母さんだと自分では思っているけど、スーパーお母さんみたいになりたい。自分に自信が持てるように部屋を片付けたい」。
自己紹介のメモも、自分で書いてからChatGPTに整理してもらったもの。片付け以外のことはできるからこそ、もったいない。
1日目:服から。「しまむらの受注販売」のタイマーを止めるところから
いつでもゴミ袋を出せるように、ポケットに突っ込んである。意気込みがいい。僕のチャンネルではセオリー通り、服・クローゼットから減らしていくと決めています。理由は2つ。
クローゼットは寝室やリビングと直結していることが多いので、ここを片付けると溢れているものをクローゼットに入れ込める。そして、服は片付けた翌朝から服選びが楽になるので、効果を実感しやすい。
始める前に、スマホのタイマーが鳴りました。「しまむらの受注販売」。娘ちゃんにアナ雪のワンピースを買ってあげたいそうです。本当に欲しいなら買っていいけれど、その代わり減らさないといけない。
「似合うかな……似合わない気がしてきたな」——今パッと冷静になって迷うような服なら、いらないんじゃないかと思います。「やっぱりいらないです、って言っときます」。
しまむらなら捨てられる、高い服は捨てられない、「可愛くて安いのを買う」スタンス。安物買いの銭失いでどんどんモノが増えるパターンです。簡単に手に入るからこそ、簡単に失いやすい。
服が多い人は、クローゼットに全部集まっていないことが多い。お風呂場にも段ボールにもぺろさんの服があるので、このタイミングで家中の服を全部ここへ集めます。僕のチャンネルでは「いるかどうかで迷ったら減らす」をやってもらっています。
スマホを捨てるかどうかで迷わないように、自分にとって必要なものは迷わない。迷うということは、デザインが気に食わないか、しばらく使っていないか、セールに釣られて買ったか。
床のものからいきます。似たダウンが2着——「形が気に入ったGUのダウンと、こっちのほうが高いユニクロ。2年使ったらいいかな、という基準でいいですか?」いい考え方です。同じ機能、似たデザインのものがあるならこっちはいらない。
もらいもののプリーツスカートは1年前にもらって一度も着ていない——1年着ていないなら今後も着ないはず。コロナでなくなったブランドの服を「プレミアが付くかも」と取ってある。その積み重ねで床が埋まっている。
去年買った浴衣はタグが付いたまま。セーラームーンのGUコラボはタグ付きで色違い、2,490円×3、「ざっくり7,500円分捨ててますね」。19,300円したワンピースは一度も着ず、メルカリで3,000円まで下げても売れなかった。
ここで大事な話を2つ。ひとつはリセールバリュー。僕が毎年iPhoneを買い替えるのは、1年使って綺麗に売ればだいたい7割で戻ってくるから。でも服は、ハイブランドのカバンや腕時計と違って、買ったときの値段からほぼ買い値がつかない。
もうひとつは「5,000円以下なら捨てる」という基準。ぺろさん自身が出した基準ですが、これはいい。メルカリで梱包している時間を時給換算すると、ぺろさんの時給なら売上金を使っているようなもの。
僕が来るまでの1ヶ月で売れるものは売ってもらっているので(売上は2万7千円。その分でお寿司を奢ってもらいました)、今回は基本的に「捨て」の方針です。25,000円の服を8,000円まで下げても売れず、シワシワ。
この状態で買い手がついても相当メンテナンスしないとレビューが悪くつく。いいブランドだからと残しているのに、主役になっていない。
「福袋戦争がやりたいだけで」買って結局着なかった服。ぺろさんの課題は、買い物依存症とまでは言わないけれど、買えたことの高揚感が好きなこと。安く買えた嬉しい、レアなのが買えた嬉しい。
「ユニクロで普通のママっぽく全部揃えたらテンションが上がらなさすぎて、また最近は派手めな服に戻りました」——だったら、無理に一般的なママになる必要はない。黒系でデザイン性のある服を選んだほうが、逆に長く着られる。
床の服だけでゴミ袋は約10袋、未開封も多く、十数万円分は捨てています。
途中で旦那さんが帰ってきました(結婚8年、この家に住んで8年。顔は映さず、サメの被り物で参加)。身長151cmのぺろさんが、2m以上の高さに突っ張り棒で自作したクローゼットは解体して、賃貸備え付けのポールハンガーだけに。
全部出してリセットし、必要な服だけ戻す——前回のコンサルタントは5時間のうち3時間を衣装ケースのラベル貼りに使っていたそうですが、減らさずに収納する方法では終わらない。
服は全部吊るす習慣に変えて、「床に放り投げる人生を終わりにしましょう」。吊るした途端、「お店っぽい、輝いてる私の服たち」。衣装ケースは7個分が空になり、旦那さん側も含めて衣装ケースゼロに。
旦那さんの服は1時間もかからず完了——「自分が着たい服は自分で選びます」。ぺろさんが「安いから」と買い与えたタグ付きのジャケット、3日前に70%オフで買ったのに同じものがあった服、90%オフ590円の服が続々。
服のあとはセオリー通り、玄関と靴へ。服を減らした直後は手持ちの服の記憶が鮮明なので、靴とカバンはこのタイミングで見る。来る前に30足捨てたそうですが、まだ大量。旦那さんは躊躇なく7足処分。
残った靴が黒ばかりで、減らせば減らすほど「好き」がわかる。下段のハッピーセットの景品は全部、シャボン玉だけ残す。玄関の三段ラックも全出しして、カバンも厳選。初日は11時に始めて19時過ぎまで、8時間超でした。
「これくらいなら1日で終わると思っていた」というぺろさんに、専門家としては断言します——どんなに早くても3日かかる。
2日目:ラスボスのリビング。ベビーベッドの上の「食パン」を手放す
2日目。「朝起きてクローゼットで服を選んだと思うんですけど、どうでした?」「すごい楽でした。3段にかかっているだけなので、これだけでいい。いつも一生懸命探してたなと思って。寝る前もずっと眺めてました」。
僕が服から減らし始めてほしい理由は、まさにこれ。次の朝から変化を感じやすい。玄関も昨日片付けたので、靴を脱ぐのが気持ちいい。鏡が使えるようになった。
クローゼットを片付けたら、そのまま靴と一緒に玄関を片付けるのをマジでおすすめします。
今日はリビング。一番のラスボス感がありますが、床に足の踏み場がないので、まず明らかにいらないものをどんどん捨てていきます。最終的にはベビーベッドを畳みたい。
2歳と6歳なので使っていないのに、上の食パンソファのせいで畳めなくなっている。
USJのマリオグッズ、用途のないちいかわのポーチ(「何用ですか?」「わかんないです、かわいさ」)、ゲーセンで200円で取ったピカチュウの被り物、会社に置いてあるのが気に入って買ったヨギボー、汚れたからと買い替えた2万円の食パンソファ。
ベビーベッドの上はメルカリ出品中のものばかりで、売れたのに配送していないものまで出てきて「冷静に考えてやばい」。
ベビーベッドの下はポケモンのゲーセン景品の山で、9割いらないもの。「モノの所有はコスト」の典型例です。この量のためにトランクルーム(月5,000円=年6万円)を借りようとしていたそうです。
弟さんの五月人形(定価10万円)を月1,000円強で5年預けて約6万円払い、最後はジモティーで500円にしかならなかった話も。「あったら便利」は、なくても困らない。ベビーベッドを解体すると、人が2人座れるスペースが出現しました。
ケーブル配線ボックスを全出しすると、古いスマホ、刺さってもいないケーブル、付き合った当時(10年前)に旦那さんがガラケーだった頃のFOMAケーブル。8年分のほこり。ミシンは「人生の趣味にしたい」ので残し、すぐ出せる場所へ。
机の下からは、ちいかわの「なんとかなれ」グッズが無限に出てくる。「厳選した」というエコバッグの山、中身が何も入っていない100均の便利アイテム——便利アイテムは基本、買っちゃダメ。キーホルダーを付ける癖で、モノがモノを生む。
推しグッズも箱ひとつに。部屋がきれいな友達に「大事にできないのは推しに失礼だから増やすな」と怒られたことがあるそうです。ゲーセンは取ったときがピークで、ギャンブルに近い。「こんなに捨てたらもう増やせなくなる」は、良い学びです。
ボロボロの机を5万円で買い替えるのは高いと思うのに、推しと10分喋るのに10万円は安いと思う——推し活はプライスレスになって、金銭感覚がバグる。「捨てている本人が一番疲れる。モノの多さで体力を吸われる」。
子どもと片付け:6歳と2歳が「いる・いらない」を自分で決めた
「リアルに今、モノに殺されかけてる」——そこへお子さんが帰ってきました。噂に聞いていた6歳のお兄ちゃんと2歳の妹ちゃん。「なんか変わってない?」「きれい」「テーブルがない」。今からお子さんと一緒に片付けます。
「いるおもちゃといらないおもちゃを分けてほしくて、これに一旦欲しいおもちゃを入れてください」。
意外とお子さんも「いらない」とちゃんと言うんです。メタモンはいらない、ジラーチもいらない、ボールもいらない。家族会議。お兄ちゃんと妹ちゃんで意見が分かれることもある。大事なのはダブルチェック。
一旦「いる」と言ってもらったものをもう一回見てもらうと、改めて見るといらないと思えるものが出てくる。お子さんのおもちゃを捨てるときは、二重でチェックするのをおすすめします。
面白いのは、ママのほうが捨てられないこと。「これぐらい残していい?」「いや、それが始まりじゃないですか」。お子さんが頑張って捨てる中で、お母さんが背中を見せないと。
シルバニアファミリーは「どれいる?」「1個もいらない」「あなたが欲しいって言って買ったのよ」——まあ、子どもってそんなもんなんですよね。「じゃあ自分で捨てて。ゴミです、って言って」「ゴミです」。
ポケモンカードも大量に。「高いカードとかないですね」「ないです」「結構お金かかりませんでした?」「結構かかってます」。300枚くらい捨てて、残したのは金ピカだけ、23枚(お気に入りはフーディン)。
「デッキ組めないけど大丈夫か」——子どもは集めるのが楽しいだけで、ルールは理解していないと思う。僕が思っていたよりもだいぶ減らしてくれて、衣装ケースが全部空きました。
お兄ちゃんがピアノを弾いてくれました。今後はここでいっぱい練習できる。「お部屋広くなって嬉しい?」——特に感情はないらしい。でも、最後にこう言いました。
「お家になっちゃった」「今まではお家と思ってなかったってこと?」「ジャングルだった」。ほんとそう。
3日目:衣装ケース6個を全出し。ゴミ袋100枚が、3日で空になった
3日連続の最終日。ぺろさんは夜中3時にLINEで「今週やることリスト」を作っていました。前日に子どもたちが減らしてくれたおかげで空いた衣装ケース6個を全出し。インスタで話題の収納ケースはだいたい全部買っていた。
朝4時に並んで買った鬼滅の刃のカバン、無限に出てくるリュック、ブランケット。上の収納から、夫婦で夏休みに1週間かけて作った思い出のパズルが出てきて、これは時間を置いて考えることに。
僕はYouTube史上初めて手を切って、絆創膏をもらいました。
拭き掃除をしながら、「ママなのに汚いと言われそう」という不安に答えました。ママだから片付けられる、はイコールではないし、親になった途端に超人になるわけでもない。モノを減らす・片付けるは技術。自転車と同じで、練習すれば誰でもできる。
次は季節・サイズ別に整理された「未来の子ども服」。ルールは直近1年分だけ残す。来年冬用に70%オフで買ったズボン——時給の高いぺろさんが安く買っても、管理に時間を奪われて節約になっていない。
この片付けに5日×8時間=約40時間使うことも含めて考えるべき。サンプル品で1万円した子ども服は一度も着ずにサイズアウト。お祝いでもらった服は心がときめかない——もらっているあなたも悪い。
「ズボンがないと思って買っていたのに、あった」。何がどれだけあるか把握できないから買うループ。未来の子ども服は今回で最後にして、半分に。空箱4つ分減りました。
そして、45リットル100枚のゴミ袋の箱が、3日間で空になりました。「ありがとう、3日間」。子ども服の収納を左右に分けて、男の子と女の子それぞれのクローゼットに。衣装ケースの側を外して全部見える形にし、透明なケースをおもちゃ箱に。
ピアノを横に2つ並べられるようになり、一本道しかなかったジャングルは「原っぱ」に。帰ってきた子どもたちは「めっちゃきれい」「ピカピカ」「かっこいい」と、自分のクローゼットに喜んでいました。
1週間後に再訪するまでの宿題は、「撮れ高を気にせずガンガン減らして」。
4日目(1週間後):本を半分に、大きな棚を撤去、財布から2万円
1週間空けて、4日目。「敷きたいと思ってたあれを敷いたんですね」。床に白いマットが敷かれ、前回手が付けられなかったベッド下周辺も半分くらい片付けてある。「昨日、夜中の3時までやってました」。
お子さんはここでテントを張って遊ぶようになり、ピアノは毎日。そしてランドセルが増えていました。ネイビーと緑、糸の色まで自分で選んだそう。
最近は「置き勉」OKの小学校が増えていて、逆に置き勉をするには「何が必要か」を時間割を見て考える力がいる——僕が小学校で取捨選択の授業をしたのは、そのためでした。
洗濯物を取り込んで、クローゼットにそのまま吊るす。「今までこれをやる余裕なかったですからね」「道が歩けて、服をそのまま吊るせる。当たり前の幸せを噛み締めてるのが今」。
片付ける前から間取りをどうしようと考えるのも大事ですが、間取りをどうするかは、減らし終わってから。
家中の本(絵本からビジネス書、同じ本を2冊買って未開封)を集めて半分に。「片付けたら遊ぶようになった、片付けたら勉強もする。お子さんの未来はぺろさんの手にかかってる」。
出っ張った大きな棚は「寂しい」と言いつつ撤去して、「全然ないほうがいい」と実感。減らしてもごちゃつく原因は3つ——減らし足りない・色数が多い・置き方が分散。本棚の扉を外して、ブルーロックなど好きな漫画をディスプレイ。
モノが多い人は、隠す収納をやめる。隠すほど増えるし、取り出す手間で使わなくなる。 奥からは未使用の時計、大量のポイントカード(還元率10%以下は捨てる提案に「ポイントカード出すの楽しい」と返されて、俺の理論が通じない)。
財布は中2で買ったものを手放し、普段用1つに。財布から2万円、別の場所から2千円が出てきました。「財布にも家賃がかかっている」。
5日目:水回りとキッチン。ハンカチは16枚、食器は過去最多で処分、そして子どもと2回戦
5日目は、ぺろさんが午前中に仕事をして午後休。初日に驚いた洗面所から。ドラム式洗濯機に洗濯物を入れっぱなしで、そこからほじくって着る生活——「こんな人いない」「コメント欄に仲間がいます」。
雑巾にするつもりで溜めたタオルは結局使われず、開始10分でゴミ袋がパンパン。ハンカチは1人4枚×4人=16枚に厳選。僕はバスマットを持たず、浴室内でタオルで足を拭きます。モノが多い人ほど、布で隠す。
来客用の物隠し布、3段の脚立、天井まで積まれたモノは地震でも危険。ピンクのカゴをなくして白で統一したら「開放感エグい」。洗面台が使えるのは1年ぶり。
メイク用品は「絶対使うものだけ、ちょっとでも迷ったら出す」。「全部大事」——全部大事は、どれも大事じゃない。アクセサリーは1枠1個の収納に収まる分だけ、化粧品は開封後半年で使い切れなければ処分、段ボール3箱分がゴミ袋3つに。
「ダニがいなくなるスプレー」が出てきたので、一番ダニがいなくなる方法を教えます——モノを減らすこと。使用期限を2年近く過ぎた消毒ジェル。
結婚式で使った紙飾りは大事なものですが段ボールに埋もれていたので、写真に撮って振り返りながら手放す。「ここを片付けたおかげで映える写真が撮れる、背景が真っ白で」——ここは埋めないでください。
歯を磨いたりメイクしたりするときだけモノを置く「一時置き場」にして、使い終わったらこの状態をキープ。
この日、帰ってきたお兄ちゃんが「自分から片付けを手伝いたい」と名乗り出てくれました。「今欲しいおもちゃとかある?」「うん、ある」「だったら、そのために今ここにあるやつをもうちょっと見ようか」。
ぺろさんが飾りたがるレックウザも「お魚興味ないもん」。ぺろさんが悲しんでいますが、大丈夫だそうです。お子さんがすごく自発的に減らしてくれるようになりました。素晴らしい英才教育。
そして洗面所が空いた瞬間、お兄ちゃんが踊り始めました。
「人間が4人入れます」「ブレイクダンス始めた」「才能あるんじゃないですか?」「ダンスさせるためにも家、片付けないとですね」「そうなんで。空間いるんで」「今まで子どもの才能を殺してましたね」「そう、生かしたいと思って。ピアノとダンスができるのに」。
キッチンは上段をほぼ全部空けます。位置が高いものは使わないから置いてあるので、いらないものの可能性が高い。身長的にも届きにくいから極力下に収め、上には軽いラップ類だけ。
消耗品のストックは容器をなくして直置きのほうが、上から覗いて取り出す手間がない。お弁当箱は6個あって、1人2個の計4個に。食器は奥が取り出せず、手前しか使っていなかった——「今までで一番食器を捨ててる、ダントツ」。
割れ物は子どもが使えないので減らし、旦那さんも参加。キッチンマットとトイレマットは掃除を後回しにしているだけなので捨てて、クイックルワイパーで直接拭く。夜9時半、ドア上の突っ張り棒を撤去して、5日目が終わりました。
ビフォーアフター:1ヶ月後、部屋はこうなった
前回の片付けから1ヶ月。その間LINEで「ここはこう片付けてください」と宿題を出しながら経過報告を聞いていたので、かなり綺麗になっているはず——と楽しみにして来ました。
玄関。突っ張り棒をなくして、白い三段ラックもなくなり、必要最低限のスツールとダイソンの掃除機、電動自転車の充電器だけ。服は夫婦2人分のアウターだけ(花粉が付くので、クローゼットとは別にここへ2着だけ)。
靴箱には家族4人分の靴が全部入って、上には趣味のテニス用品、下にはお子さんが取り出しやすいように靴とシャボン玉。
水回り。足の踏み場がなかったのに、今は洗濯カゴとゴミ箱しか置いていない。「すごい使いやすくて、ここで子どもがダンスしてます」。メイク用品は持ち運べるケースに入れて、洗面所でもリビングでも2wayで。
タオルもハンカチも必要な枚数だけ、備え付けの収納の範囲内でやりくりするのを徹底。洗剤は洗剤、入浴剤は入浴剤と分類されて、全部収まっています。トイレは家族の写真がいっぱいなのであえて触らず、上の吊るしグッズだけなくした。
座ったときの視界がすごくクリアになった。
キッチン。上半分は何も置いていない。必要な食材とラップのストックだけ。下には家族4人分の食器がパッと取り出せるように収まり、食材も「必要なものがどこにあるか一目瞭然」。
リビング。僕と同じ真っ白のジョイントマットを敷いてもらいました。赤ちゃんの部屋にあるふかふかのマットなので、お子さんが怪我しづらく、冬は暖かく、白くなったことで広く見える。
この部屋は本当に僕の部屋と同じくらいの広さで、そこに家族4人。コンパクトな物件だからこそ、白い床で広く見せるのは効く。床にモノが何もない。送ってもらった動画では、お子さんがここでめっちゃ遊ぶようになっていました。
「これ正直、どうやって生活してるん?」という部屋が、家族4人が生活している絵が浮かぶ部屋に。クッションはご飯を食べるときだけ出す。
お子さんの学習机も置けて、大好きなピアノも。「帰ってきたら手を洗ってすぐにピアノを弾いてて。発表会みたいなところでミスなく、大人と同じくらいのレベルのピアノを披露してて。毎日練習できて、本当に快適で」。
1ヶ月前は、モノに乗り上げてピアノを弾いていたのに。
テレビ周辺。でっかい棚を減らして広く感じるし、本が綺麗に整理され、大好きなブルーロックが全巻パッと取り出せる。お子さんの絵本も置けるようになった——「寝る前に自分で持ってきます」。ベッドで読み聞かせ。
棚の下はガジェット系と文房具コーナーに分け、「自分で持っていって、お絵描きが自由にできて便利です」。ペタペタ貼ってあったシールや磁石は全部剥がして、隠した。
そして僕が一番感動しているのがここ。最初に応募の写真を送ってもらったとき、絶望したのがこの収納でした。上から下まで大量にモノが詰まっていて、「これ片付けるの大変だな」と。それが、お子さん2人分のクローゼットとおもちゃ置き場に。
「毎朝、服を楽しそうに選んでます」。服は上にあったのを、お子さんの手が届くように下へ。畳んで積んでいたのを、突っ張り棒に全部吊るす。「人形を上に固めて、いつでも眺められるようにしたい」という希望で人形は上に。
未来の子ども服もかなり厳選して、それでも1年分くらい。当面、服は買わなくて大丈夫。ケーブル配線はボックスに。——あ、ここ、最初ベビーベッドがありましたよね。「やばい、マジでそうだった」。もう遠い過去のようです。
最後は寝室。夫婦2人分の服が、こっちが旦那さん、こっちがぺろさんと綺麗に吊るされ、下にはそれぞれの下着。
「毎朝起きて、どうですか?」「すごい楽です。全部お気に入りしかないので、お店で洋服を選ぶみたいな感覚で、テンションが上がります」。旦那さんもだいぶ頑張ってくれて、一緒に片付けた。
このコンパクトな家に、お子さん2人分、夫婦2人分のクローゼットがちゃんとできた。
「最初の部屋を思い出すと泣けますもん」「1ヶ月前あんな部屋だったのに」「ゴミ屋敷入門くらいありましたからね」「どうやって生活してたんでしょうね」「1人分通れるくらいはあったんで、それで十分だと思ってました」「あれが異常だったってことで、今、遠い過去のように」。
感想:「今の推しは、子どもなので」
「ここだけ見るとミニマリスト」「この床だけは」。こうやって2人がミニマリストスタイルで床に座れていることが、もう奇跡。僕も最初、正直これ終わるかなと心配だった。「私もね」。
一番の変化は、子どもたちの生活がガラッと変わったこと。「毎日のびのび遊べる空間ができたので、『お家に早く帰りたい』。今までは休日もすぐ『どっか行こうよ』と連れ出されていたのが、家でできることが増えたので『明日はお家でこれしようね』になって、家にいる時間が増えた。子どもにすごくいい影響があったと思います」。
家が散らかっているからこそ家にいたくなくて外出し、買い物や外食で出費も増える。片付けると、家でしたいことがいろいろ思いつく。
「これ欲しいなと思ったときに、1個増やしたら1個減らさなきゃな、買いすぎたらしぶさんに怒られちゃうかも、と思うようになって、すごく慎重にモノを買うようになりました」。
僕が着いた日、新しく夏服を4つ買ったけれど、その分4つ減らしていた。カバンを買うかどうかで2週間検討して、寝かせた結果「必要ない」と買わなかった。昔のぺろさんなら欲しいと思ったら買っていた。
減らしただけでなく、モノの増やし方も研ぎ澄まされているから、めちゃくちゃ成長したと思う。
「4人で食卓を囲めるようになったので、みんなでご飯を食べる機会が明らかに増えました」。前は2人ずつしか食べられなくて、ぺろさんはいつもキッチンで立ち食いしていた。
「オタクグッズってすごい量あるなって、全部出してわかったので。でも、今の推しは子どもなので、それを考えたらやっぱり減らしていかなきゃだなって。本当に必要かな、と考えたら、本当に必要なものはすごく少なかったので、全然捨てられました」。
オタクグッズは箱4つ分くらいに厳選。この家が散らかっている原因は、家族みんなの責任でもあるけれど、ほとんどがぺろさんのモノだった。「子どものものと言いつつ、服もおもちゃも買っているのは全部私だったので。増やしたのは全部私です」。
でもそこは責任を持って、ご自身で片付け終えられた。声が響くようになりました。
「整理収納アドバイザーとか家事代行とか、いろいろあるんですけど、さすがにここまでは持ってこられなかったので、本当にもう諦めてて、一生このままなんだと思って、ストレスも溜まっていって。
でもなんとかしたいなと思ってYouTubeを見たら、しぶさんの動画に出会って。優しいけど、ちゃんと筋の通ったことを伝えてくれるので、この人なら私もモノを減らせそうだなと思って、勇気を出して応募しました。
本当に応募してよかったなって、この家を見て感動してます」
僕のYouTubeに出てくれた中でも、過去一、物量が多い方です。「他の人はまだモノ少ないじゃん、私はこんなに多いから減らせないよ」と思っていた人——めっちゃ思ってました、と本人。それでも、お子さん2人がいる中でここまで減らせた。
特にぺろさんご自身が頑張ったので。
あれから1ヶ月:ぺろさん自身が撮った部屋
撮影が終わってから、さらに1ヶ月。ぺろさんが自分で撮ったルームツアーが届きました。玄関は「足元はなんとかモノを置かないように頑張ってます」。洗面所は床が広くなって「ここでストレッチもできます」。
キッチンは洗った食器を置く空間が広くなって使いやすい。テレビの棚はブルーロックの漫画を奥にして「なんかいい匂いするやつ」を置いた。「子どものおもちゃとお洋服はそんなに減ってないけど、なんとかキープしてます」。
ピアノの台を買って本格的に。お兄ちゃんは小学生になって、ここで勉強。
「小学校入学前にしぶさんと片付けておいたことが、本当に良かったなと心から思っています。1ヶ月経っても頑張って維持できているし、モノがなくなって後悔したことはなかった。前に比べたらすごく『捨てられるマインド』が身についたと思います。
この動画を出すのは恥ずかしかったんですけど、似たような境遇の人がいたら、私の動画を見て力になってくれたらいいなと思います」
ぺろさんの片付けから学べる、10のこと
1. 服から減らす。 クローゼットは寝室やリビングと直結していて、片付けた翌朝から「服選びが楽」という変化を実感できる。クローゼットのあとは、そのまま靴と玄関へ。
2. いるかどうかで迷ったら、減らす。 スマホを捨てるかどうかで迷わないように、必要なものは迷わない。迷う=デザインが気に食わない・使っていない・セールで買った。
3. 全部出して、必要なものだけ戻す。 減らさずに収納する方法では終わらない。衣装ケースは結果的にゼロになった。
4. 1年着ていない服は、もらいものでも今後も着ない。 タグ付き、色違い、「プレミアが付くかも」は、床が埋まる原因。
5. 「5,000円以下は捨てる」のような、自分の時給に合った基準を持つ。 メルカリの梱包時間を時給換算すると、売上金を使っている。売るものは片付けの前に売っておく。
6. 子どものおもちゃは、子どもに聞いて、ダブルチェック。 意外と子どものほうが潔く、親のほうが捨てられない。
7. 未来の子ども服は直近1年分だけ。 何がどれだけあるか把握できないと、「ないと思って買ったらあった」のループになる。
8. 高い位置にあるものは、使っていないから置いてある。 上段は空けるか軽いものだけ。備え付けの収納の範囲内でやりくりし、隠す収納をやめる。
9. 間取りは、減らし終わってから考える。 洗面台のような「一時置き場」は、使ったら元のまっさらに戻す。マットと突っ張り棒と「隠す布」はなくす。
10. 買うときは、1個増やしたら1個減らす。 欲しいものは2週間寝かせる。買えた高揚感のための買い物から、本当に欲しいものだけへ。モノの所有はコスト。
片付けの考え方をもっと深く知りたい人は、僕の本『手放す練習』と『手ぶらで生きる』に詰め込んであります。
YouTubeに出演して自宅を片付けてほしい方は、しぶのLINEから(不定期募集なので、募集時にLINEで案内します。顔出し・部屋を公開できる方のみ・無料)。
LINE限定の片付け動画や「手放すか迷ったときの30の質問リスト」などの特典も配布しています。
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YouTube版のタイトルは『「ミニマリストに憧れるけど…」捨てられない女性の自宅へ。モノ減らしたら汚部屋もキレイに片付いた』です。4時間48分。
お子さんたちの「いらない」の言い方、洗面所でのブレイクダンス、最後の1ヶ月後の動画は、ぜひ本編で。
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